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 50+(フィフティプラス)のための健康講座Vol1.      取材/渡辺隆司 更新日:2006.12.26
50+のための健康講座
50歳を過ぎたら心身ともに健康に注意して明るく仕事に取り組み、趣味やレジャー、スポーツなどを楽しみましょう。
特に生活習慣病に気をつけましょう! 食生活、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどが糖尿病や高血圧症など生活習慣病の進行に深く関わっていることが分かっています。
              生活習慣病が合併すると、急性心筋梗塞や脳梗塞など生命に
              かかわる怖い病気を引き起こします。「50+おおいた」
              では、大分県立病院に協力していただき
              「50+のための健康講座」を連載していきます。

              第1回は「急性心筋梗塞」です。
              お話しは循環器内科部長の平川洋次医学博士です。
第1回 急性心筋梗塞

 
Q: 急性心筋梗塞・狭心症とはどんな病気でしょうか?

A: 急性心筋梗塞とは、心臓の表面を走行し心臓の筋肉(心筋)に血液を送る血管(冠動脈)が閉塞することによって心筋に血液が行き渡らなくなり、ついには心筋が壊死(えし)に陥った状態です。そのほとんどは冠動脈の動脈硬化が原因となります。発症のしかたとしては、もともと狭心症がある人で次第に症状がひどくなって心筋梗塞になる場合と、狭心症を経ずにいきなり心筋梗塞を起こす場合とがあります。したがって予兆がある場合と全くない場合とがあります。予兆がある場合は、狭心症の胸痛発作の頻度がだんだんと増えてきたり、発作の持続時間が長くなったり、以前より軽い動作で発作が起こったりするようになります。歯磨きや食事などで狭心症発作を生じるようになれば心筋梗塞を起こす寸前と言えます。


Q: どういった症状や病気が危険因子といわれますか?

A: 糖尿病・高血圧症・高脂血症・喫煙・肥満が5大危険因子とされています。そのほかにも家族歴(身内に同じ病気の人がいる)・高尿酸血症・闘争的な性格など、多くの危険因子が明らかにされています。これらは急性心筋梗塞だけでなく他の動脈硬化性疾患に共通する危険因子です。


Q: 心筋梗塞と狭心症の発作時の症状を教えてください。

A: 心筋梗塞の場合は、激しい胸痛あるいは胸部絞扼感(締め付けるような感じ)が通常30分以上持続し、多くは「冷や汗」「吐き気」「不安感」などを伴います。ニトログリセリンを舌下しても無効です。こういった症状の時は心筋梗塞を疑って、すぐ病院に行くか救急車で搬送してもらうほうがよいでしょう。狭心症の場合は胸痛の持続時間はおおむね5〜10分程度と短く、ニトログリセリンの舌下が有効である点が心筋梗塞と異なります。もともと狭心症のある人で、以前より胸痛発作の頻度が増えたり、持続時間が長くなったり、軽い動作で発作が起こったりするようになった場合は不安定狭心症といって心筋梗塞を起こす直前であることが多いですから、この場合も早めに病院に行って受診したほうがよいでしょう。


Q: どんな治療が行われるのでしょうか?

A: わが国における現在の急性心筋梗塞治療の主流は、緊急カテーテル治療です。これはカテーテルといわれる直径2mm程度の細い管を手首や足の付け根の血管から心臓まで通して、風船(バルーンカテーテル)や金属の網(冠動脈ステント)などを血管内に通して閉塞した冠動脈を再開通させる方法です。以前は血栓溶解剤(血の固まりを溶かす薬)で閉塞部の血栓を溶かしていた時期もありましたが、現在では可能であれば少しでも早く緊急カテーテル治療を行うほうがよいとされています。しかし離島や僻地などすぐにはカテーテル治療が出来ない状況では、まず血栓溶解剤を投与してからその後速やかにカテーテル治療の出来る施設に転送することも広く行われています。アメリカなど広大な土地にまばらにしか大きな病院がないような場合は、いまだに血栓溶解が主流の地域もあります。


Q: 発症後の処置の時間差による救命率の違いは?

A: 急性心筋梗塞は発症した直後から心筋の壊死が始まりますので、一旦発症するといかなる治療をもってしても心臓を完全にもとの状態に戻すことはできません。しかしながら少しでも早く治療を開始することで梗塞の範囲を最小限にくいとめることができ、ひいてはその後の後遺症の軽減につながります。
急性心筋梗塞は心臓病の中でも重症の病気であり、一般的な死亡率は3割程度とされています。死亡の多くは突然死であり、近年の医療の進歩の結果、なんとか病院にたどり着いた方の多くは救命できるようになりました。それでも発症からの時間が経過していますと不整脈や心不全、心破裂などの合併症も生じやすくなり病態が急変することもありますので、ともかく急性心筋梗塞を発症したら1分でも早く病院に行って治療を開始することが重要です。


Q: 健康診断結果と予防についてお聞きします。

A: 狭心症など発作性の心臓病の場合は、発作の最中でないと心電図異常がでないことがほとんどです。したがって通常の検診で狭心症発作がつかまることはあまりなく、検診で異常なしと言われた直後に急性心筋梗塞を発症することもまれではありません。むしろ心筋梗塞予防における検診の意義としては、血糖値や血圧・コレステロール値など、危険因子につながる要因の把握によるリスク回避にあるといえます。これらは長年かかって少しずつ動脈硬化を進行させていきますので、定期的なチェックとコントロールが必要です。


Q: 冬の寒い時期に特に注意しなければならないことをあげて下さい。

A: 暖かい部屋から急に戸外に出た場合など、急な温度の変化で狭心症発作を生じやすくなりますので、冬場の寒い時期には暖かくして外出する、浴室の脱衣場の保温に気を付ける、早朝の散歩は控えるなどの注意をされるとよいでしょう。

   大分県立病院 循環器内科部長
                      平川洋次医学博士
心臓と冠状動脈の模式図

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